「もしもし」
『おー、久しぶりじゃの。跡部』
耳から聞こえてきたのは思っていた通りの声。
思わずの方を向いてしまう。
よりによってコイツに目つけられるとはな・・・。
運がいいのか悪いのか。
「さっきはうちのマネージャーが手間かけたな」
『ええち。それより・・・・・』
「ああ、学園祭のことだったな」
正直から言われてときは驚いた。
確かに氷帝のマネージャーを誘ったのはこの俺だ。
だが・・・まさかうちのマネージャーをあっちにやることになるとはな。
さすがに予想できなかった。
さすが詐欺師、といったところか。
『・・・ちゃん、ええこじゃな』
「なんだよ。惚れたのか?」
『まあ、そういうことで』
今日はサプライズデイらしい。
まさかと思って冗談半分で聞いたつもりだった。
否定しない・・・むしろ肯定しているところをみるとあっちもそれなりに本気の様子。
仁王といえば、こっちにまで女の噂は流れてくる。
俺の知り合いにも泣かされたヤツは何人かいる。
勝手な想像だがタイプといえば大人な雰囲気の女かと思っていた。
・・・・大人か?
どちらかといえば「キレイ」ではなく「カワイイ」タイプ。
しっかりしているというより天然で小動物系。
幼馴染をこういうのも笑えるが、まさにそういう感じだ。
仁王のタイプとは正反対に思える。
・・・・前から知ってたのか?
『いや、ついこないだ』
「どこがいいんだよ」
『・・・気になるんか?』
電話だと余計分かりにくい。
顔が見えねぇしな。何考えてるか分かったもんじゃない。
そのうえ、相手は仁王。
チッ。やりずらい。
『お前さんも同じような理由でとってったんじゃろ』
「さあな。」
『ククッ・・・はいい子じゃ。ちと荒いけどな』
「交換みたいになっちまったが・・・幸村はそれでいいのか?」
『あ?ああ・・・平気じゃ。了解しちょるよ』
「まあまた挨拶に行く。よろしく言っといてくれ」
『おう。そんじゃな。ちゃんによろしく』
「・・・・どうだった?」
「ああ、大丈夫だ。後で部長の幸村にも話しておく」
立海・・・・・、か。
幸村がよく許したな。
いや、アイツはこういうの好きなタイプか。
「ねぇ、立海ってどんな感じかな?氷帝と変わらないかな?」
「・・・・・まあ、お前なら大丈夫だと思うけどな」
「全国優勝校だよね?なんか厳しそう」
「ウチだって厳しいだろーが」
「あはは、本当は仲いいんだけどね」
は真面目だ。
与えられた仕事はちゃんとこなしてくれる。
仕事面ではなんら問題ないだろうがな。
俺が知ってる限りじゃ個性派そろい。
大体あの仁王が出てきているらへんから怪しい匂いがする。
「・・・・・油断するなよ」
「ん?ああ、大丈夫だよ!
知らない人ばっかりは怖いけど・・・雅治くんいるし」
「仁王はやめとけ。お前が思ってるほど優しいヤツじゃない」
「そうかな?んー、でもちゃんの知り合いだから平気かなと」
あははと笑っているあたり余計不安になる。
こういうところは抜けてるっていうか・・・。大丈夫かよ。
「行くんなら早めがいいだろ。一緒に行ってやる」
「うん。あ、ちゃんっていつ頃来るのかな?」
「来週には手伝いに来てもらう予定だ」
「ふふ、ちゃん良い子だからさ。私みたいにいじめちゃダメだよ?」
「バーカ。誰がお前いじめたんだよ」
「だっていっつも面倒くさい仕事ばっかり任せるじゃん!今日だって!!!」
「わかったわかった」
文化祭・・・なかなか楽しめそうじゃねーの。
***
「と、いうわけでよろしく」
「はぁ???!お前何考えてんの?」
「っていうか先輩何で言わなかったんですかね?」
「仁王、お前また勝手なことを・・・たるんどるっ!」
「ふふ、でも面白そうじゃない」
「じゃろ?部長の承諾はもらったけぇ、文句言うんじゃなかよ」
「なーなー、その・・・ちゃん?ってどんな子?」
「そう!それ!可愛い子だといいッスよね」
「どうじゃろな」
「どうって・・・仁王知ってんだろぃ?」
「そうですよ、仁王くん。教えてくれてもいいじゃないですか」
「お、柳生も気になるんか。ククッ、意外じゃな」
「気が利く子だといいな・・・」
「これは良い機会だな。にもいろいろ頼んでおかなければ」
「幸村、お前は本当にこれでいいのか?」
「ああ。大丈夫だよ。ちゃん、良い子そうじゃない
それに仁王の本当にタイプの子が分かるしね」
「ククッ・・・・さあ、どうかの?」
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